お教室先生や講師のお悩み解決:カリキュラムづくり・コース設計の考え方

お菓子やパン、お料理、クラフト、書道、楽器、アロマ、ヨガ、カウンセリングなど・・・
こういった分野の 「講師」になりたい人、お教室を開きたいという女性が多くいらっしゃいます。

いっとき「サロネーゼ」ともてはやされた時もありましたが「先生」と呼ばれて生徒さんに教える姿に憧れている方も多いのではないでしょうか。

講師業で起業する際にまず悩むのが「カリキュラム・コースの組み立て」です。これはお店で言えば販売する商品の品揃え。飲食店で言えばメニューです。

あなたの事業のコアとなる部分ですし、この設計次第で売上を左右しますから、よく考えて決める必要があります。

そこで今回は、お教室・講座のカリキュラムづくり・コース設計についてお伝えしたいと思います。

目次

ターゲットを想定してカリキュラムをつくろう

レッスンやコースを設計する場合、どうしても「あなたが教えたいこと」を中心に考えがちです。

でも、それだけでは独りよがりのカリキュラムになりかねません。お教室もサービス業ですから、お客様である生徒さんの求めるものを反映するようにしましょう。

そのためには、ターゲットとなる生徒さんを明確にする必要があります。あなたの教室・講座にはどんな生徒さんがどんな思いを持ってやって来るのでしょうか?

「ターゲットを考えましょう」と言うと「30代の主婦で〇〇市に住んでいて、パートをしている人」といった属性を挙げる方が多いのですが、カリキュラムを組み立てる場合、これでは不十分です。

来る生徒さんがどんなことを学びたいのか、どんな要望・希望を持ってレッスンに申し込むのか、なぜそれを求めているのか?といったところまで踏み込んで考えてみてください。

例えば・・・
「30代の女性で会社員。業務がテレワークになり、その結果、残業が減って夕方以降の時間を持て余している。今は彼氏も居ないので、何か長く続けられる趣味を始めてみたいと考えていて、いずれはその趣味を教える講師をして独立してみたいとも思っている人」といったように具体的に設定をしましょう。

このように具体的なターゲットのイメージを持つと、どういった時間帯に、どのような内容のレッスンを企画してカリキュラムを組み立てたら良いかが自然と見えてきますよね。

具体的になればなるほど、生徒さんのニーズにマッチしたカリキュラムができるはずです。

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2つのレッスンの形式

お教室や講座のレッスンは大きく分けて2つの形式があります。

「単発のレッスン」「複数回を継続して行うコース制」です。

単発のレッスンは、気軽に参加しやすいという参加者のメリットが大きい一方で、先生側にとっては毎回参加者を募集しなければならないうえ、参加者は初めて会う人のため対応が大変といったデメリットがあります。

またコース制は、長期に渡って生徒を確保できるので収益の見込みが立つ、同じ人が継続して参加するので対応しやすい、といった先生側のメリット大きい一方で、参加者にとっては仕事などが忙しい人は通いにくいなどのデメリットがあります。

あなたのメリット・デメリットとお客様にとってのメリット・デメリットのバランスを取りながらカリキュラムを組み立ててみましょう。

フロントエンドとバックエンド

複数回を継続する「コース制」のレッスンは、お客様からすると申し込みのハードルは高いものです。

  • 1回受けてみて先生と相性が合わなかったらどうしよう…
  • 内容のレベルが高すぎたり、低すぎたりしたら嫌だな…
  • 仕事が忙しくなって通えなくなったらどうしよう…

そうした不安が「学んでみたい」という気持ちにブレーキをかけます。

でも、そんな不安を解消するのが「お試しレッスン」、「無料体験講座」という安価もしくは無料の「単発レッスン」です。

こうした、新規の生徒さん獲得につながる導入用のレッスンを「フロントエンド」と言います。

また、そのあとの継続レッスンやコースは「バックエンド」と言います。

フロントエンドが目玉商品で、バッグエンドが本命商品という訳ですが、これは一般の商品や各種サービスでもよく行われている手法です。

飲食店であれば、フロントがランチ、バックがディナーになります。また化粧品ではフロントが無料サンプル、バックがクリームなどの高額商品です。

企画する場合は、必ず先に本命のバックエンド商品を作りましょう。そして次に、そこに至るまでの導線としてフロントエンド商品を考えてみましょう。

また、フロントエンドの商品は、生徒さんにとって魅力的で損が無い(=お得感がある)ことが重要で、「この値段なら失敗しても許せる」という価格に設定します。

例えば多くの語学スクールでは「無料体験レッスン」をフロントエンドとして実施していますが、それ単体で見たら赤字です。

でも、その無料体験レッスンで気に入って入校してくれたらフロントエンドの赤字分が回収できるようにバックエンドの料金設定がされているのです。

トータルで利益が出るような料金設定でフロントエンド・バックエンドのレッスンを構成することが大切です。

カリキュラムづくりをしてみましょう

それでは具体的にどのようにカリキュラムを組み立てていったら良いか事例をご紹介しながらお伝えします。

まずは各レッスン・コースの概要を考えます。

<考える項目>

  • レッスン名
  • ターゲット
  • コンセプト
  • レッスン形式
  • 定員
  • 料金

パン教室を例として考えてみたいと思います。

このパン教室では「自家製の天然酵母を使い、動物性脂肪を極力使わない身体に優しいパンづくり」をコンセプトに教えています。都内のタワーマンションにある自宅キッチンやパーティールーム、そしてレンタルキッチンなどをベースにお教室を開催予定です。

ターゲットを、30~40代のちょっとリッチで家族の健康に気を遣う主婦とし、お友達作りも兼ねて美味しいパンを手作りしたい女性、と設定しました。

レッスン名 親子で楽しむパン作り 家庭で味わう手ごね&天然酵母のパン作り 講師養成コース
ターゲット

ママ+10歳以下のお子さん(初心者)

健康に気を使っていてマクロビなどにも興味があるちょっとリッチな主婦層(初級~中級) パン教室を開業したいと考えている30~40代の女性(中級~上級)
コンセプト

日常食べるパンに興味を持ってもらい、親子が一緒に楽しめるレッスン。

継続的にパン作りを楽しんでもらえるコース。レッスン後のティータイムもあり、パンを通じた仲間づくりができるレッスン。

パン講師になりたい人向けコース。小さな個人教室の運営の方法を教える。

レッスン形式 単発(3時間)/月2回開催 定期レッスン(4時間×6回)/月2回開催 定期レッスン(5時間×24回)/月2回
定員 3組 4名 2名
料金 5,000円 30,000円 250,000円

まずは、親子で気軽に参加できるワンデイレッスンや、定期レッスンを考えました。また、ターゲットのなかから、いずれパン教室の講師になりたい人も出て来るだろうと想定し、講師育成コースも用意しました。

こうしてバックエンドのレッスンが固まったら、次にこれらのコースに参加してもらうためのフロントエンドを考えます。

一人でやっている教室のため、無料体験レッスンを別途行うのは時間的にも厳しいので、別途レッスンを作るのではなく、通常コースの開催時に1回だけ1,000円引きで参加できる、という対応にしました。

先生側は別途準備が不要で楽ですし、参加者は通常コースの雰囲気や参加者の様子などが分かるというメリットもあります。

こうしてカリキュラムが決まったら、細かいレッスン内容を作り込んでいきましょう。

まとめ

お教室を始める時、どんなカリキュラムにしたらいいか迷ったら、まずはあなたが教えられることと、想定する生徒さんが学びたいと思うことを挙げて、その両方が重なる部分をレッスンにしてみましょう。

講師やインストラクターのディプロマを取得して、協会の指定通りのレッスンをするだけでは、なかなかうまくいきません。特に同じ内容のレッスンをしている教室が他にもたくさんいる分野では競争が激しくて苦しいばかりです。

お教室運営では生徒を集める「集客」に重きを置きがちですが、基本に立ち返って、コアであるカリキュラムをきちんと組み立てて、放っておいても生徒さんが勝手に集まってくるお教室を目指しましょう。

 

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