『ハンドメイドブーム』と言われる昨今。ハンドメイドや手作り品のクラフトの作家さんが出店する「マルシェ」と呼ばれるイベントがあちこちで開かれています。
弊社では、ハンドメイド作家さんが出店するマルシェイベントをブーム前の2014年頃から企画・運営をしてきました。
そうしたイベントでいつも思うのが、お客様が大勢集まる人気のブースもあれば、素敵な作品が並んでいるのに誰も立ち寄らないブースもあるということ。
何が人気を分けるのでしょうか?
それぞれブースをよく見てみるとその理由が見えてきます。
今回はこうしたイベントで人気のブースになるための3つのポイントについてお伝えします。
ポイント1:滞留時間が長くなる立体的なディスプレイ
マルシェには複数の出店者がいて、お客様はそれらのお店を見て回りながら、好みのお店、商品を見つけます。
いくつものお店を見て歩くお客様が「パッと見る」数秒間であなたのブースに立ち寄るかどうかを判断するので、印象に残り、興味を持って立ち寄ってもらえるようにしなければなりません。
それには、展示・ディスプレイがキモになります。
マルシェ系のイベントの多くでは、ブースの備品として長机が用意されています。
こういうヤツです↓
長さ180cm×奥行450cm×高さ70cm程度の折りたたみの「会議用テーブル」というもので、この机に商品をディスプレイします。
お客様が立ち止まらないブースでは、そのほとんどが、商品をずらーっとその机に並べているだけです。その並べ方だとパッと見てどんな商品があるのか、ひと目で見えるの一方で、すぐ分かってしまうため、立ち止まる時間(滞留時間)は短くなりがちです。
人って、人が集まっているところに吸い寄せられるように集まって、人がいない所にはなかなか集まらないんですよね。ですから、立ち止まらないブース、立ち止まってもその滞留時間が短いブースは、いつまで経っても人が集まらないままになりがちです。
一方で人気のブースは、既定の机を使いつつ、さらに自分たちで様々な形の什器を持ち込んで立体的に商品を並べています。
これは以前に弊社主催のイベントに出店していた方のブースですが、お客様がいろいろ商品を手に取ったりなどして滞在時間が長い店舗でした。

立体的な陳列は同じ商品点数でもボリューム感が出ますし、手に取りやすいゴールデンゾーンに商品を並べることが可能になります。
会議室用の机の高さは70cm。一般的にゴールデンゾーンと言われる床からの高さ0.6~1.5mに入りますが、若干低めです。
ですから、机をそのまま使うのではなく、机の上に箱や展示用のラック、什器などを置いて、大人のお客様の目に留まりやすい高さに商品を並べることが必要です。
手に取りやすい高さ(床から1m程度)に立体的に陳列することで、商品を見る時間(滞留時間)が長くなり、お客様がお客様を呼ぶ現象が生じ、人気ブースとなるのです。
さらにお子さんの来場が多いイベントであれば、お子さんの目線や手に取りやすさを考えた陳列も大切になりますね。イベントに合わせて展示を変えることも大切です。
ポイント2:縄張りを主張しない“待ち”の姿勢
多くのマルシェ系イベントでは、それぞれブースサイズが決まっています。
ブースのスペース、例えば縦200×横200cm(2×2m)といったように、決められた空間をそれぞれの店舗が工夫を凝らして商品陳列などを行わなければなりません。
お客様が立ち寄らないブースの代表格が、通路に面して長机を配置し、平面的に商品を並べて、その後ろでお客様を待ち構えている店舗です。
こんな感じ↓
また、机の前に立ってお客様が来るのを待っていたり、声かけしている店舗もお客様は敬遠します。
こんな感じ↓
試食を配ったりするなど、お客様を呼び寄せる動きをしているならまだしも、誰かが来るのを待ち構えている様子では、とても近づきにくいですよね。
自分がお買い物する時のことを考えたら分かると思うのですが、店員が待ち構えているお店にはあまり近づきたくないと考えるのがお客様の心理です。お客様は店員の『縄張り』に足を踏み入れることを嫌がるのです。
一方で、店員が縄張りを主張していないオープンな雰囲気のお店では、つい足が止まり、安心して商品をゆっくり見ることができます。
以前開催したイベントで、こんなレイアウトにしている店舗にお客様が集まっていました↓
通常の長机に二つの小さいテーブルを追加して、正方形のスペースを上手に奥行まで使って展示をしていました。
自然に奥まで足を踏み入れるお客様も多く、一人の滞留時間が長くなるので、たくさんのお客様が集まるブースでした。
どうしても長机一つを通路に沿って置くしかない場合もあるでしょう。そんな時は「いかに自分の縄張りの主張を弱めるか」に工夫を凝らしてください。
お客様を待ち構えるのではなく、自然に立ち寄ってくださるような雰囲気を出すのにうってつけなのが、作品を作ったり作業をする、という方法です。
こんな風に作業をしていると、前に置いてある作品に足を止めてくださる方が自然と現れます。商品がどうやって出来上がるのかを実演して伝えることができるので、お客様の興味関心を引きやすいからです。
一人が立ち止まってくださったらしめたもの!
でも、そこで焦ってガツガツ接客するのはNGです。
笑顔で「こんにちは」とお声掛けして、ゆっくり見ていただきましょう(縄張りを主張しないため)。
そして、お客様のほうからお声掛けがあったら丁寧に対応しましょう。
そうこうしているうちに、二人目のお客様が足を止め、三人目が来て・・・と人が集まるブースになるはずです。
ポイント3:あなたの特長をPOPで表現
ハンドメイドのマルシェイベントだと、出店者同士で販売する商品が似ていたり、かぶってしまうことがよくあります。アクセサリーなどは特に、似た商品を扱っているブースがいくつもあったりしています。
多くのブースを回るお客様は「さっきのお店でも似た商品あったな」と心の中で思っています。
そこに、あなたの商品の特長やサービス、売りの言葉などをPOPで書いておくと、「あら?さっきのお店とは違うのね」と思ってもらえます。
例えばアクセサリーの場合、私自身が目を留めてしまうのは
「すぐにサイズの調整をします」
「金属アレルギー対応に変更できます」
というPOPです。
他にも
「オーダーも承ります」
「○○にこだわって作っています」
「キャッシュレス決済可能!」
なんて言葉も気になります。
そう言えば、先日出店していたお菓子ブースの方は「卵、乳製品、白砂糖を使用していません」と大きなPOPを出していました。
そうした表記はアレルギーのある方にも親切ですよね。
書いて無かったら分からないことを伝えるのがPOPの役目。一見して分かることは書かなくても構いませんが、書かないと伝わらないこともあるはずです。
それをきっかけに目を留めて、足を止めてくださる方もいるはずです。それが人気のお店の第一歩です。
まとめ
足を止めてくださるお客様が少ないと
「場所が悪いから」
「来場者が少ないから」
と環境や条件などのせいにしがちです。
でも本当にそうでしょうか?
私がこれまで様々なイベントを企画、実施してきた経験からすると、条件が悪くてもきちんと売れているお店、人気のお店は確実にありますし、そうした出店者さんはそれなりの努力をされています。
「自分のところにはお客様が足を止めてくれないな・・・」と思ったら、ぜひ他の人気のブースをじっくり観察してみることも大切です。
何が自分の店舗と違うのか、比較して考えてみましょう。
人が集まらないことや、売上が伸びないことを条件のせいにしたら成長が止まってしまいます。ぜひ人気のブースになるための努力を惜しまないようにしてくださいね!