起業した人が真っ先に取り組むのが告知や宣伝です。
その際に、自分のビジネスや商品・サービスを多くの人に知ってもらいたい、興味を持ってもらいたいからと、以下のようなことをしていませんか?
- 注目を集めたいので実際よりも大げさに表現してみる
- 実際よりも優れているかのように記載してみる
- 科学的な根拠がないのに効果があるように表示してみる
こうしたことは全て「不当景品類及び不当表示防止法」という法律で禁止されています。
そこで今回は「知らずにうっかり法律違反をしていた」ということにならないように『表示』の注意点について解説します。
女性の起業に多い業種・ジャンルを中心に事例でご紹介していきますのでせひ最後までご覧ください。
・チラシやPOPの表現や表示について知りたい方
・景品表示法の概要について知りたい方
NGな表示について事例で解説
例えばこんな事例です。
事例1
「食欲を抑制するツボを刺激すると食事制限をせずに痩せられる」とホームページに記載していたけれど、実際には科学的な根拠を示す資料などは持っていない。
「これを塗ればすぐにシミが消える」っていうクリームの広告、あれもそうかしら?
事例2
「今申し込むと通常価格から30%割引」と表示したけれど、普段から割引価格で販売していて、これまで通常価格で販売した実績は無い。
「全品50%OFF」ってセールのポスターがいつも貼ってあるお店、あれもそうかしら?
このように、科学的な根拠が無い効果をうたったり、値段をごまかして消費者をだます表示は、法律で禁止されています。
『表示』に関する法律: 景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)
実際より良く見せかけたり、有利だと思わせるような表示は
「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」
という法律で厳しく規制されています。
「景品」という言葉が最初に来るので「自分には関係無い法律に違いない」と思う方がいるかもしれませんが、法律名の後ろ部分は「不当表示防止法」という名前で、表示について規制をする法律なのです。
また、表示と言うとプライスカードやPOP、チラシやパンフレット、メニューのような紙に書いたものをイメージしがちですが、ホームページやSNSなどのインターネット広告も規制の対象となっています。
実際、令和3年度に東京都は24,000件のインターネット広告を監視して、そのうち234事業者(234件の広告)に改善指導を行っています。(参照:東京都 令和3年度インターネット広告表示監視事業実施報告)
特に女性の起業で多い「リラクゼーション」や「美容系」などで表示の違反をしている方が多いとのこと。
女性起業家はきちんと理解しておきたい法律になります。
そもそも「表示」って?
消費者が安心して商品やサービスを選べるように表示について規制をしているのが「景品表示法」ですが、そもそも「表示」とは何を指すのでしょうか。
景品表示法が対象とする表示とは「事業者が提供する商品やサービスの品質や規格、内容、価格、取引条件などを消費者に知らせる広告や表示全般」としています。
具体的には、チラシやパンフレット、カタログ、ホームページはもちろん、商品そのものの容器、パッケージ、ラベルなどから、接客でのセールストークなども「表示」に該当します。
『表示』と言っても「消費者に知らせるためのもの」という広い概念なので、接客や電話でのセールストークやテレビ・ラジオCMなどの広告も含まれるので注意が必要です。
「メディアに取り上げられて、嬉しくなってつい大げさな表現をしちゃった」
とか
「お客様としゃべっていたら見栄を張って誇張しちゃった」
といったことが無いようにしましょう。
何をしたら景品表示法の法律違反になるの?
景品表示法では、事業者が提供する商品やサービスの 商品やサービスの品質や規格、内容、価格、取引条件 などについて、「不当な表示」をしてはならないとしています。
では、不当な表示とは何を指すのでしょうか。
景品表示法では3つの不当な表示を禁止しています。
①優良誤認表示の禁止
②有利誤認表示の禁止
③その他 誤認されるおそれがある表示の禁止
の3つです。
それでは一つずつ解説します。
①優良誤認表示の禁止
景品表示法が定める「優良誤認表示」ですが、その名の通り、商品やサービスの品質や内容が、競合他社などと比べて著しく優れていると誤認される表示を指します。
お客様に「これはものすごく良い!」と思わせておいて、実際にはそうでない表示のことです。
これらのように、商品の品質や規格、そして内容、原産地、製造方法などについて、事実と異なる表示をしたり、優れているように思わせるような表示は「優良誤認表示」として禁止されています。
不実証広告規制について
優良誤認表示に当たるかどうかを判断するため、消費者庁は根拠を示す資料の提出を求めることができます。そして、提出された資料をもとに「根拠がある」「根拠が無い」と判断されます。
例えば、下の例のように、エステ施術前と施術後で、シミやシワがなくなったようなビフォア・アフターの写真を載せて紹介する場合は注意が必要です。
試験や調査によって得られた科学的な数値データに基づく結果や、専門家や専門機関の見解や学術文献などで実証された資料が提出できない場合は不当表示とみなされます。
また、15日以内に資料の提出が無い場合も、その表示は不当表示とみなされます。
②有利誤認表示の禁止
景品表示法が定める「有利誤認表示」とは、価格や取引条件(※)を 競合他社などと比べて著しく有利であると誤認される表示を指します。
※取引条件とは、数量やアフターサービス、保証期間、支払い条件などを指します
お客様に「これはめちゃくちゃお得だ!」と思わせておきながら、実際にはそうでない表示のことです!
例えば、「今なら着付けの資格が1万円(税込)で取得できます」と記載して、その下に「※別途、着物のレンタル代金がかかります」と小さく記載していた事例。
実際には1万円のコース料金を支払うほかに、1万円の着物レンタル料金を支払い、さらに約30万円の着物・帯・着付けセットを購入する必要があるものだった例です。
このように、実際には追加費用が必要であるにもかかわらず「〇〇円」だけを支払えばサービスを利用できるように表示したものは違法となります。
二重価格について
景品表示法では有利誤認表示の一つとして不当な二重価格表示を禁止しています。
二重価格とは、販売する商品・サービスの価格より高い他の価格(比較対象価格)を併記して表示するものです。
二重価格そのものは禁止されている訳ではありませんが、比較対象となる価格の内容について、適正でない場合には「有利誤認表示」に該当する恐れがあります。
例えば比較対象価格を『当店通常価格』とした場合は、相当期間にわたって販売した実績があることが必要になります。
・2日間だけ通常価格で販売して、その後セール価格を半年続けている
・通常価格は1万5千円だけど、「通常価格2万円」としてセール価格1万円で販売する
といった場合は有利誤認表示となります。
③その他 誤認されるおそれのある表示
景品表示法が定める不当表示の禁止の3つ目は、一般消費者に誤認されるおそれがある6項目を特に指定して禁止しています。
①無果汁の清涼飲料水等
②商品の原産国
③消費者信用の融資費用
④不動産のおとり広告
⑤おとり広告
⑥有料老人ホーム
消費者が原産国を判別することが困難な場合は不当表示となります。
違反するとどうなるの?
景品表示法に違反している場合は「措置命令」と「課徴金納付命令」が行われます。
なお、景品表示法は消費者庁だけでなく公正取引委員会や都道府県でも指導や取り締まりをしています。
違法な表示を見つけたら
消費者庁や公正取引委員会、都道府県の景品表示法主管課は景品表示法違反に関する情報提供を受け付けていて、オンラインの専用窓口も設けています。
気づかないうちに法律違反をしないように注意しよう
ホームページやパンフレット、そしてPOPやセールストークなど、自分の売る商品・サービスは、どうしても良い面やメリットを強調したくなりますし、都合が悪いことやデメリットは言いたくないものです。
でも、そういう気持ちで表示をすると、お客様をだますことにもつながり、気づかないうちに景品表示法違反になってしまっていた!ということがあるかもしれません。
そうならないためには、まず、きちんと景品表示法について理解をすることが大切です。
表示は消費者に販売をする事業者全てに関わる法律です。
消費者庁では、景品表示法について分かりやすいパンフレットを用意していますので、一読してみることをお勧めします。
↓クリックするとPDFで表示されます
法律にのっとった表示をすることで、お客様が安心して利用できる事業者となりましょう。
チラシやパンフレットの作成方法はこちらの記事で解説しています
お客様に知ってもらうアイデアについてはこちらの記事も参考にどうぞ
1年以内に起業を目指す女性もしくは起業して約1年以内の女性を対象に「きちんと稼げる」ことをテーマにした個別のコンサルティングを行っています。
【対面orオンライン】2時間単発セッション
【対面orオンライン】3か月個別コンサルティング
2時間単発セッションは、起業のモヤモヤ解消に。
3か月の伴走型のコンサルティングは、事業を成長させたい方、一つ上のステージに上がりたい方にお勧めです。