起業して事業を始める時に「どうやって売るか」を考えますが、販売の方法として【実店舗を構えるタイプ】と【無店舗で行うタイプ】に分かれます。

分かりやすく言うと、店舗を持つか、持たないか、ということです!
事業の内容によっては実店舗が無いと難しいビジネスもありますが、ネットやスマホの普及で、固定的な店舗を持たずに営業・販売する方法も様々なやり方が増えています。
実店舗を構えるか、それとも店舗を持たずにやるかは、その後の売上にも大きく影響しますので、メリットやデメリットなどをよく検討してから決めなければなりません。
そこで今回は、店舗を持つかどうかを検討している方に向けて、店舗を持たない販売方法(無店舗販売)にはどのようなものがあるかをご紹介すると共に、店舗の有無によるメリット・デメリット、そして店舗を持つ・持たないを決める際のポイントを解説します。
店舗を持たない販売方法
店舗を持たない販売には幾つかの方法がありますが、代表的な方法をご紹介します。
インターネット販売(オンライン販売)
インターネットを通じて販売する方法全般を指しますが、その方法にもいろいろなやり方があります。
①独自店舗の開設
インターネット上に独自のお店(販売用のウェブサイト)を構える方法です。
最近では簡単に販売サイトを作れるサービスも増えていて手軽にネット上に店舗を構えることができます。
②ショッピングモールに出店
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモール内に店舗を構える方法です。モール自体に集客力があるので、独自店舗の開設に比べると売り上げが伸びやすい反面、モールに出店する手数料などが生じます。
③マーケットプレイスに出店
クラフトや手作り作品の販売であればminne、Creema、tetote、サービス系であればココナラ、クラウドワークス、ランサーズといった『マーケットプレイス』を利用する方法です。
買いたい人と売りたい人が集まる場のため、効率的かつ安心して取引ができます。
④フリマアプリやオークション
メルカリやYahoo!オークション(ヤフオク)といった、個人同士が売買するマーケットで直接的に販売する方法です。
①の独自店舗の開設以外はプラットフォームが用意されているなかでの販売となるので、店舗でいうところの家賃に当たる出店料がかかったり、販売時に手数料が発生するのが一般的です。
なお、インターネットでの販売は容易に始められる反面、競争も激しく、簡単にライバルとの比較ができるため価格競争に陥りがちです。
そのため、自身の商品・サービスの強みや特長を分かりやすくお客様に訴求することが大切になります。
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カタログ販売

店舗を持たずに販売する方法の一つで、通信販売の伝統的な方法です。
紙媒体のカタログを年に数回発行して、お客様から注文を受けて発送します。
最近はAmazonなどのネット販売が一般的になって、デジタルカタログも普及しましたが、紙ならではの一覧性や、好きな時に何度も見返せる点などの特徴があるため、紙のカタログは今でも根強い人気があります。
特に年齢層が高い世代に紙媒体のカタログは支持されています。
お客様が必要な時にアクセスするネット通販と違って、購読者に定期的に郵送で届けるため、購買意欲の掘り起こしなどが出来る点も強みです。
ただし、カタログの印刷費や発送費がかかること、掲載できる情報が限られていること、時間の経過と共に情報が古くなってしまうことなどがデメリットとなります。
出張販売・訪問販売
お客様が集まる場所や、お客様の自宅・求める場所に出向いて商品販売やサービス提供をする方法です。
業種によって異なる方法がありますので具体例でご紹介します。
①キッチンカー・ケータリングカー(移動販売)
調理できる機能の備えた自動車で販売する方法で、飲食店やカフェ、スイーツなど様々なジャンルの飲食系で実施が可能です。
飲食店としては、店舗を構えるよりも初期費用がかからないので始めやすいのが特徴です。ただし、営業したい地域の保健所で営業許可の申請が必要になります。
②理美容・リラクゼーションの訪問サービス
病気や怪我、出産の前後など外出が困難なお客様の自宅などに訪問して理美容やリラクゼーションのサービスを方を対象に提供するものです。
具体的にはヘアカットやシャンプー、カラーリング、顔そりなどの理美容や、エステ、ネイル、アロマ、リフレなどまで様々なサービスが対応できます。
③訪問レッスン
ご自宅などに伺って指導するのが訪問レッスンです。パソコンを始め、勉強(家庭教師)、ピアノなどの楽器、料理、ヨガなど様々な内容で可能です。
自宅で普段使用している状況で教わることができるため、習ったことがすぐに活かせるというメリットがあります。
店舗の有無によるメリット・デメリット
【実店舗を構えるタイプ】と【無店舗で行うタイプ】のそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
〇実店舗を構えるメリット
お店を構えるメリットは以下の通りです。
- 商品を実際に手に取って見て確認してもらってから販売ができる
- 対面販売のためお客様との信頼関係が築きやすい
- 目的の商品以外の「ついで買い」がおきやすい
- 看板や店内の内装、接客などで個性やブランドをアピールしやすい
- 取引先などの信頼感を得やすい
実際にお客様と対面でコミュニケーションできる、ということは実店舗を構える最大のメリットでしょう。
×実店舗を構えるデメリット
店舗を構えることによるデメリットは以下の通りです。
- 物件取得や設備投資などの初期投資に多額な費用が必要になる
- 家賃水道光熱費などのランニングコストがかかる
- 場所が固定されてしまうため、お客様が限定的になってしまう
- 店舗に必ず人が居て接客をしなくてはならず、時間的に拘束される
実店舗を持つ場合、その取得から維持まで様々な費用がかかることがデメリットと言えます。
〇無店舗のメリット
店舗を持たずに営業するメリットは以下の通りです。
- 店舗を持つコスト(賃料・水道光熱費など)がかからない
- 場所にとらわれないため、幅広いお客様が得られる
- 準備の時間が短くて済み、すぐに始められる
無店舗のメリットは、費用負担が少なく身軽に経営ができることでしょう。
×無店舗のデメリット
店舗を持たないことによるデメリットは以下の通りです。
- 固定的な店舗が無いことで信頼が得られにくい場合がある
- お客様の顔が直接見えないことで反応が分かりずらい場合もある
無店舗のデメリットは信頼性が薄れたり、お客様との直接的なコミュニケーションができないことでしょう。
当然ですが、店舗があっても無店舗であっても、それぞれメリット・デメリットがあります。
店舗の有無を決める際のポイント

実店舗を構えるか、それとも無店舗でやるかどうかは、何を元に決めたら良いのでしょうか?
例えば、飲食店を始めたいと考えた場合、
①実店舗を構える
②ケータリングカーで移動販売をする
③お客様宅へ訪問して料理をする(出張シェフサービス)
といった選択肢があるかと思います。
もちろん、どれか一つを選ぶのではなく、3つの方法を全てやるのもアリですが、起業当初はまず一つの方法に絞って、それを軌道に乗せてから他の方法に挑戦する、というのが無難でしょう。
まず最初にどの方法を選んだら良いか、決める際のポイントを幾つかご紹介します。
事業の内容・スタイル
飲食店の場合、キッチンカーなどで店舗の無い形態でも可能ではありますが、やはり店舗を構えて接客をするスタイルのほうが、独自性を打ち出して展開できます。
このように事業の内容や営業のスタイルなど、「自分が求める事業の形態」を元に、店舗を持つかどうかを決めます。
起業・独立・開業は、自分の夢の実現です。
やりたい事業を実現するには、どちらか良いかを考えて選んでみましょう。
用意できる起業資金の金額
実店舗を構えるには、物件の取得費や内外装の工事費、そして設備機器の購入などで多額な資金が必要な場合がほどんどです。また、事業を始めても家賃や水道光熱費などの固定費がある程度必要になります。
一方で、無店舗だと初期費用が少なく済む場合がほどんどで、家賃が無い分、固定費も低く抑えることが可能になります。
実店舗を構える場合、自己資金に加え、借り入れ(融資)で開業の資金を準備する方がほとんどですが、借り入れが難しかったり、自己資金が十分無いなどの場合は、無店舗という選択があるでしょう。
ライフスタイル
固定の店舗を持つと、時間的にも地理的にもその店舗の場所に束縛されます。
自分の時間や家族との時間なども考慮した場合、そうした場所・時間に拘束されたくないようであれば、無店舗という方法が良いでしょう。
一方で、地域に根付いて安定したライフスタイルを希望するのであれば、店舗型が向いているでしょう。
対象となるお客様
地域が限定された地域密着型の商売をするのであれば店舗型が向いています。
店舗が拠点となって、そこに来店するお客様とのコミュニケーションが売り上げを支えるタイプのビジネスでは、実店舗を持つことが必須になります。
一方で、全国・全世界に向けて商品・サービスを販売したい場合は、必ずしも店舗を必要としません。
まとめ
女性が起業する場合、資金的な制約やリスクを考慮して「無店舗」での販売を選択する方が多いようです。
確かに無店舗のほうが少ない資金ですぐに始められますし、上手くいかなかった時や何らかの理由で辞めることになった場合、撤退の費用も少なくてすみます。
ただし、単に「お金が無いから」という理由だけで無店舗を選択するのは、もったいない場合もあります。
実際の店舗があるほうが、直接お客様とのやり取りができるので、女性のきめ細やかなサービスが伝わりやすく、信頼関係が築けて、長く事業を続けやすい場合もあります。
店舗の有無にはメリットもデメリットもあり、一概にどちらが良いかは言えませんが、多面的に検討して、自分にあった販売方法を選んでみてください。

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