これまでの経験や身に付けたスキル、取得した資格などを活かして起業をする女性が増えています。
しかし、起業をしてもお客様が思った通りに増えなかったり、予想よりも少ない売上で事業継続を断念する人が少なくありません。
女性の起業で多い「個人事業」の場合、その4割近くが1年目に廃業してしまうと言われています(※)。
起業直後の生存率は低く、年数を追うごとに生存率は安定していきます。
ですから起業1年目の行動はとても重要です。
そこで今回は、起業の一年目に心掛けたい5つのポイントをお伝えします。
(※中小企業白書 2006年版 第1-2-21図 開業年次別 事業所の経過年数別生存率 個人事業所ベース:1年経過後62.3%)
信頼を得るための行動を取ろう
ビジネスでは「信頼」がとても重要となります。
信頼があってこそ、仕事の依頼や注文が得られるというのは、説明するまでもありませんよね。
でも、起業したばかりのあなたは、ビジネスという社会では『新入生』ですから、取引先やお客様から見たら、あなたが信頼が置ける人かどうか分かりません。
信頼は最初が肝心です。
最初の段階で「この人は信頼できないな」と思われてしまったら、それを挽回するのは容易ではありません。
そして信頼はすぐに築けるものでもありません。
小さな行動の積み重ねが大切です。
そこで、信頼を獲得するために今すぐにできる行動として以下の二つをご紹介します。
メールはすぐに返信する
女性の場合、LINEやメッセンジャーなどSNSのコミュニケーションツールをメインで使っていることが多く、メールを使用しないという人も多く、チェックするのも数日に1回という人もいます。
しかしビジネスの場合は、メールでのやり取りが一般的。
ですから、ビジネスを始めたらメールを毎日チェックをするのはもちろん、受け取ったメールにはすぐに返信をしましょう。
送信されたメールはLINEなどのように『既読』かどうかが分かりません。
だからこそ「読みましたよ」と伝える意味も含めて返信は早めにしましょう。
メールの回答に時間がかかるような場合でも、まずはいったん「メールを受け取りました」「お返事まで少しお時間をください」というお返事を返しましょう。
返事が早い、レスポンスが良い、というのは、相手から見ても分かりやすい行動なので、印象が良くなり、その積み重ねで信頼が得られるようになります。
時間に遅れない
信頼は「約束をきちんと守る」ということがベースのうえに成り立っています。
ですから、打ち合わせの時間や納期など、約束された時間に関しては、とにかく厳守して、遅れないようにすることが大切です。
もちろん、ドタキャンなどもってのほか。
理由があってキャンセルするのであれば、その事は早めに伝えましょう。
「時間を守る」なんて当たり前のような行動ですが、こうした当たり前の小さな行動の積み重ねが信頼につながり、ビジネスの発展に結びついていくものです。
色んな人と付き合おう
起業した直後の女性に、いわゆる「世間が狭い」という人が割といらっしゃいます。
主婦から起業して、ママ友などのお友達だけしかネットワークが無いタイプの人です。
そういった人だと、得られる情報が偏ったり、お客様が広がりにくくなってしまいます。
ビジネスをしていく上では、自分の事業の分野だけでなく、経営やマネジメント、法律や社会の動向など幅広く情報を得ることが必要になります。
そうした情報や知識を得るためには、お友達だけではなく、人的なネットワークも広く持つことが大切です。
幅広い人脈を持っている人ほど、様々な情報が入ってきて、ビジネスのチャンスも広がります。
起業1年目は、業種や業界、性別や年齢などにこだわらずに、幅広く様々な人と知り合ってみましょう。広く知り合いを作ってから、その後、長くお付き合いする人を選んでいくと良いと思います。
幅広く人と知り合うことで得られる業界の情報やノウハウ・知識が、あなたのビジネスにもきっと役立ったり、新たなアイデアや発想に繋がるはずです。
目先の儲けに囚われない
起業の1年目は多くの人が「早く売り上げを伸ばしたい」と思います。
でも、その考えに基づく行動が、逆に足を引っ張ってしまったり、長期的な成長のチャンスを逃してしまったりすることがあります。
目先の儲けに囚われすぎてしまって、失敗しないための心得えを二つご紹介します。
むやみに安売りをしない
「売り上げを伸ばしたいし、自分はまだまだ駆け出しで実績も無いから・・・」
と起業初心者の多くが、一般的な価格より安く料金を設定しがちです。
でも、その安易な安売りが、あとあと、あなたの首を絞めることになるのです。
値下げはお客様から喜ばれますが値上げは敬遠されます。
それだけでなく、値上げするには準備や心構えも必要です。
「こんなんだったらもう少し高い値段に設定にすれば良かった」と多くの起業初心者が思います。
安易な安売りはせずに、きちんと利益を得られる適正な価格をつけることがとても重要です。
損して得取れ
ビジネスのことわざに「損して得取れ」という言葉があります。
一時的な損があっても、それが将来的には大きな利益につながることを指すもので、長期的な視点に立って取引をするべき、という考え方です。
起業当初は売り上げを伸ばしたいという思いがあるうえ、事業を軌道に乗せることに忙しいため、「売上にならない無駄なことはしたくない」とか「儲けにならないことはしたくない」と思いがちです。
その結果、頼まれた事を目先の売上・利益だけで判断して、断ったりしていませんか?
大きな仕事を起業したばかりのあなたにいきなり頼むことは、一般的に考えてもほとんど無いでしょう。小さな仕事を依頼してきちんと対応してくれたら次に少し大きめの仕事を頼む、というのが普通です。
小さな仕事や些細な頼まれ事をきっちりこなすことで、あなたの信頼が高まり、大きな仕事へと繋がっていくのです。
無理に安い仕事を引き受けることはありませんが、一定の長期的な視野に立って仕事を受けるかどうか判断しましょう。
チャレンジしよう
私自身、起業して10年が過ぎて振り返ってみると、起業当初の事業だけでなく、当初は思ってもいなかった事業を途中で始めて、それが今では中核を占めています。
その事業は、自分で「やってみよう」と思ったものもありますし、周りから「これをやって欲しい」と頼まれて始めたこともあります。
周りの起業している人にも、起業当初から主力の事業が変化した会社や、全く違う事業を始めた人はたくさんいます。
ビジネスはお客様のニーズの変化や外部環境の変化などに常に対応していかなければなりません。昨今の新型コロナウイルスの影響しかり。
常に変わらず同じこと続けるのでなく、新たな取り組みに果敢にチャレンジすることも大切です。
起業した一年目は、新しいチャレンジばかりかもしれませんが、このチャレンジする気持ちを忘れずに続けていきましょう。
そして、「こんなことはできる?」とか「こうしたことをやってもらえる?」と言われたら「出来ません」とすぐに断るのではなく、出来る方法を考えてチャレンジしてみましょう。
新たなチャレンジから新たな売上、新たなお客様、販路が生まれる可能性があります。
健康に注意しよう
起業すると事業を優先してしまい、つい自分の健康や体調管理がおろそかになりがちです。
一年目は特に、起業したばかりなので無理を重ねてしまったり、身体の不調を押して頑張ってしまいがちです。
しかし「カラダが資本」と言うように健康で元気でなければ事業の継続はできません。無理して倒れたり、入院することになって事業が中断してしまったら元も子もありません。
起業したら「体調管理も仕事のうち」と考えて、十分気を遣うようにしましょう。
また、身体の健康だけでなく『家庭の健康』も大切です。
旦那さんやお子さん、同居のご両親、家族との関係も良好であるように気を配りましょう。
まとめ
起業1年生の女性に向けて5つの心得をお伝えしました。
- 信頼を得るための行動を取ろう
- 色んな人と付き合おう
- 目先の儲けに囚われない
- チャレンジしよう
- 健康に注意しよう
事業を軌道に乗せるため、プロモーションを頑張ったり、一人一人のお客様に丁寧に対応したり、日々の事業活動をしながらも、これら5つの心構えを頭の隅に置いて気にかけてみてください。
そうして日々を重ねて、長く事業を続けられるように頑張ってみましょう。