起業する女性の多くは、事業を始めた時に値段や料金を低く設定しがちです。
これまで見てきたなかでは以下のような値付けをした人がいました。
- ヨガレッスンをワンコイン(500円)で実施する
- 数時間かけて作ったクラフト作品を数百円で販売する
- 半日以上かかるチラシのデザイン制作を3,000円で引き受ける
これらは実際にあった値段設定の一例です。
これらは原材料や人件費などを考えると全くの赤字ですし、時給換算にしたら数百円、いや100円以下ということだってあります。
女性の場合、経験や実績が無い人も多く、顧客ゼロから起業する方が多いため、「早く売り上げを伸ばしたい」という思いがあるので「競合より低め」という値段設定をしてしまう方が多いようです。
始める時は周囲のライバル店より安い料金にしたほうが良いと思っていたんですけど…
安くすれば利益も減ってしまうので、自分の首を絞める行為ですよ。
そのうち「忙しいばかりで儲からない」となってしまいます。
そして、いざ値上げしようと思っても「お客様が離れてしまうのではないか」という不安で値上げができずに困ってしまいます。
値上げするのってお客様の反発もありそうで、難しいんじゃないですか?
赤字では事業継続ができません。
必要であればきちんと値上げして利益を出すことが必要です。
最近は原材料などが高騰したり、人件費や光熱費などの費用も上がっているので値上げしたいと考えている人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「値上げをしたい」と思っている女性経営者に向けて、どのように対応したら良いかをお伝えします。
適正な価格に今すぐ値上げをしてきちんと稼ごう
まず「儲からないから値上げをしたい」と思っているのであれば、今すぐ思い切って値段を適正な価格まで上げましょう。
どんな小さな事業者でも儲からなままで続けられるビジネスはありませんし「利益を生み出す」ことが事業継続の条件です。
きちんと利益が出る値段にすることで事業も安定しますし、あなた自身も安売りで疲弊することがなく楽しく仕事ができるので一石二鳥です。
ですから「頑張って売ってるのに儲からない」と思っているのであれば、今すぐ値段を上げるべきです。
なお、適正な価格とは、事業継続ができるだけの利益が出る値段で「費用+利益=値段」です。
費用は材料費や家賃、水道光熱費、そして、自分の人件費も適正に考慮して費用と考えましょう。(最初は時給1,500~2,000円くらいで考えましょう)
基本的な価格設定方法についてはこちらの記事をご覧ください。
お客様離れが不安で値段を上げられない人へ
値上げしたくてもできない人の理由の一つは
「値上げしたらお客様が離れてしまうのではないか?」という不安があるからです。
本当に値段を上げたらお客様は離れてしまうのでしょうか?
答えは、離れてしまうお客様もいますが、離れないお客様もいます。
これまで「他より安いから」という理由であなたの商品・サービスを購入していた人は、値上げをしたら離れていってしまうでしょう。
安いことが最優先で、安価が購入理由ですから、高い値段になったら、あなたから買う理由がなくなってしまいます。
しかし、「あなたから買いたい」という人や、あなたが提供している商品・サービスでなければダメ、というのであれば、多少の値上げでも買ってくれるでしょうし、それが適正な価格で価値のあるものであれば、新たなお客様も今後必ず増えていくはずです。
この「値上げしたらお客様が離れてしまうのではないか?」という不安の裏には、自分が提供する商品・サービスに自信が無いということがあります。
値上げできない最大の理由は「自分の商品・サービスに自信が無い」ということがほとんど。
まずは自信を持つことが最優先です!
経験が無い、実績が無い、レベルが高くない、品質が高くない・・・
そういう気持ちがあって、自信を持って提供できていないのではないでしょうか?
自信がありすぎて慢心するのも困りますが、欲しいと思って購入してくださるお客様がいる限り、自信を持ってプロとして商品・サービスを提供することも大切です。
もし、本当にレベルが低いのであれば、適正価格に見合った品質になるよう一生懸命、技術を磨くなどスキルアップをすることが先決です。
値段を上げる3つの方法
では実際に値段を上げるにはどうしたら良いのでしょうか?
正解はありませんが、値段を上げる3の方法をご紹介しますので、自分に合った方法にトライしてみてください。
①事前告知して値段だけ上げる(商品・サービス内容は変更しない)
一つ目は商品やサービスなどは変更せずに、単に値段を上げる方法です。
その際に重要なのが、「原材料費の高騰により」や「仕入れ価格の上昇により」など、お客様が正当だと感じ、納得していただける理由を表明することです。
この値上げ理由は値上げ予定日の1か月前程度から行いましょう。
この方法の場合、10~15%程度の値上げであれば、一時的に売上が下がるかもしれませんが、数か月後には回復し、それほど影響は無いはずです。
もし、この値上げで大幅にお客様が減るようであれば、安い値段につられて買っていたお客様が中心だったので、商品・サービスの品質のレベルアップやお客様との関係性構築など、別の面も見直す必要があります。
②商品やサービス内容を変更して値段を上げる
これは、値段を上げる際に商品やサービスも変更する方法です。
商品であれば、商品の品質やパッケージ、原材料、内容量を変更して値段を上げます。
サービスであれば、内容やメニューをグレードアップして値段を上げます。
例えばエステやアロマ、ネイルなどの場合、これまでオプションとしていたメニューを加えて通常メニューとすることで値段を上げてみましょう。
価値を高めて併せて値段も上げるので、必然的に①よりも高い値上げとなります。
この値上げの場合も事前にこれまでの商品・サービスを廃止して値段が上がることをお伝えして、期日を区切って値上げしましょう。
③値段の高い商品・サービスを新たに投入する
これまでの商品・サービスより、ワンランク、ツーランク上のものを新たに販売スタートする方法です。
値段が高くても、ちょっとお得感を感じたり、ハイレベルでお客様が十分満足するような内容のものを新規に取り扱いを開始します。
この場合も事前に販売開始時期を告知をして、既存のお客様にこの新な商品・サービスがどれほど良い物かを十分説明します。
そして次回はぜひ新たなものを購入していただけるよう促しましょう。
これまでの商品・サービスが見劣りするくらい、グレードアップした内容にすることがポイントです。
また、これまでの商品・サービスが松竹梅の梅(一番下)、新規投入分が松竹梅の松(一番高級)や竹(真ん中)というように、いくつかのレベルを用意するのも良いでしょう。
値上げについてのまとめ
値下げはお客様に喜ばれますが、値上げは敬遠されがちです。
本来であれば最初から適正な価格設定をして、継続して利益が出ることが望ましいのですが、起業したばかりの女性にとって、どれくらいお客様が来るかも分からない段階で、適正な価格が幾らなのかを判断するのは難しいことです。
また、売れて欲しいという希望や自分の提供する商品・サービスへの自身の無さなどが影響するため、どうしても低い値段をつけてしまいがちです。
そうした行為は後々値上げをせざるを得なくなります。でも値段を上げることは悪いことではありません。
値段を上げることで、商品やサービスの品質を向上させればお客様の満足度も高まりますし、あなたも利益が出て良いこと・メリットが大きいのです。
むやみやたらに何度も値上げするのは問題がありますが、正当な理由に基づいた適正な値上げは、事業を継続させますから最終的にお客様にとってもメリットがあることです。
実際に値上げをした事業者は、その後、ほぼ全員が「値上げして良かった」と言います。
もし、値上げに迷っているようであれば、ぜひ思い切って値上げして、きちんと稼げる起業女性を目指してみてください。
1年以内に起業を目指す女性や起業して約1年以内の方を対象に「きちんと稼げる」ことをテーマにした個別のコンサルティングを行っています。