女性の個人事業主が知っておきたい『廃業』する時の流れと手続き

女性の起業の基礎知識

プチ起業がブームになって久しいですが、個人事業で起業したものの、思ったよりも売り上げが伸びなかったり、新型コロナウイルスの影響でお客様が激減したりして、事業を辞める、廃業を決断する方もいるかと思います。

女性の場合、結婚や出産などのライフイベントを迎えたり、旦那さんの転勤や、子育てと事業の両立が難しくなってしまうことで、事業を続けられない方も少なくありません。

そこで今回は、女性の個人事業主の方が事業を廃業する際の手続き(廃業マニュアル)をお伝えします。

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廃業を決めた時にやること

事業を辞める(廃業)を決めた際にやらなければならないことは、大きく分けて以下の3つです。

①関係者への連絡
②廃業の実務
③廃業の届け出
提出

①は事業を辞めることを、関係する人に連絡・報告するようになりますが、その相手は「関係者」とひとことで言っても、多数居るのでヌケモレが無いようにしなければなりません。

②は後ほど説明します。

そして③の廃業の届け出は、廃業が確定した後に各種の書類を提出します。税務署を始めとし、従業員の有無や許認可などによって必要な書類が異なります。

順番としては、廃業を決めた時点で関係者に連絡を行いつつ、廃業の準備を進め、実際に廃業したら届出を出す、という流れになります。

それでは、もう少し具体的に説明をします。

STEP1:関係者に廃業の連絡をする

廃業を決めたら、関係者にその旨を伝えます。
なお、事業の規模や業種などによって関係者は様々です。以下に代表的な関係者を記載しますので、モレが無いようにしましょう。

お客様

廃業はお客様に迷惑をかける行為になりますので、できるだけ早めにご案内をしましょう。お客様が継続的に利用していたサービスのような場合は、代わりとなる事業者をご紹介する必要もあります。
「辞めるからあとはご勝手に」というのではなく、最後までお客様のことを考えて対応しましょう。

従業員

もし従業員を雇って事業をされているのであれば、廃業が決まったら早い段階でその旨を伝えましょう。働き先が無くなってしまうということは従業員の方の生活に大きな影響を与えますので、早めに伝えると共に、その後の身の振り方や再就職先の斡旋や退職金などの支払いについてもきちんと対応するようにしましょう。なお、解雇の日が1か月以内の場合は解雇予告手当を支給する必要があります。

取引先

仕入れ先などの取引先にも、早めの段階で連絡をしましょう。廃業の連絡は直接会って伝えたり、電話などで伝えますが、廃業を伝える「挨拶状」も併せて送付するようにしましょう。

入れ先などの取引先にも、早めの段階で連絡をしましょう。廃業の連絡は直接会って伝えたり、電話などで伝えますが、廃業を伝える「挨拶状」も併せて送付するようにしましょう。

不動産屋

店舗や事務所を借りて営業しているようであれば、不動産屋にも連絡が必要です。

店舗や事務所の場合、解約は3~6か月前となっていることがほとんどで、申し込んでもすぐには解約できないので注意が必要です。
※退去の連絡をしてから解約できる期間のことを『解約予告期間』と言います。

無駄な家賃支払いを避けるためにも、賃貸借契約書に記載されている解約予告期間を確認して、解約日から逆算して原状回復の工事や退去の準備を完了するまでの計画を立てましょう。

加入団体

事業をしている方のなかには、商工会議所を始め各種の経済団体に加入される方も多くいます。廃業を理由にそれらの会を退会する場合は早めに手続きをしましょう。退会をしない限り、継続的に会費が請求されてしまうので注意が必要です。

お世話になった先輩経営者や仲間、友人など

事業をする上でこれまでお世話になった先輩の経営者や、共に事業を頑張ってきた仲間、そしてあなたのビジネスを応援してくれた友人などにも、これまでのお礼と共に廃業を伝えましょう。廃業するのを伝えるのは恥ずかしい、という気持ちがあるかと思いますが、あなたから伝えなくてもいずれ知れることです。きちんとあなたの口から伝えることで、廃業後も引き続き良い人間関係が続けられることでしょう。


事業をしていた期間が長くなればなるほど、連絡をする相手の数も多くなります。
大切なご案内となるので、特にお世話になった方や長いお付き合いの方には、必ず会ってこれまでのお礼と共に廃業をお伝えしましょう。

なお、廃業や閉店にあたっての挨拶状を出す場合は、以下の内容を記載するようにしましょう。

・いつ廃業(閉店)するのか
・これまでのお礼や感謝の言葉
・廃業後の対応(連絡先等)

郵送での送付のほかに、ホームページやSNSでの報告も行いましょう。
案内は廃業の2か月前、遅くとも1か月前までには案内を出しましょう。

STEP2:廃業の実務

廃業が確定したら、事業を閉じるための準備をすすめます。
店舗・事務所の有無や在庫の有無などで、対応は異なってきます。

在庫処分

廃業を決めたら、持っている商品や材料などの在庫を出来る限り処分します。閉店セールなどを開催して値下げ販売するか、ネットフリマなどを通じて販売するなどが考えられます。また、材料などは専門業者に引き取ってもらうなどの方法があります。なお、仕入れた商品・材料で返品できるものがあれば返品という方法も検討しましょう。

設備や什器、備品の処分

在庫の処分が済んだら、設備や機材、什器や資材、備品などの処分を行います。
処分の方法は
・知人や同業者に格安で販売する
・業者に引き取ってもらう
・廃棄する

などの方法があります。

そして、レンタルやリースで借りているものがあれば業者への返却を忘れずに行いましょう。

契約関係の終了手続き

店舗や事務所を借りていた場合は、事業用に契約していたものがあるかと思います。
物件を始め、電気やガス、水道などから、電話やインターネット回線、プロバイダ、ホームページのサーバーなどなど・・・意外と色んな契約をしているのではないでしょうか?
それらの契約の終了の連絡を済ませましょう。

なお、サーバーやドメインなど、年契約をしているものもあると思いますので、前年の支払い明細や毎月の引き落とし明細などから確認すると良いでしょう。

また、郵便物についても自宅への転送するよう「郵便物届出変更届」を郵便局に出しましょう。

賃貸物件の片付け

店舗や事務所を構えていた場合、スケルトン(内装が無い状態)で借りて「スケルトン返し」が条件となっていることも多いかと思います。その場合は、内装や設備などを撤去して原状回復をしなければなりません。

業者に依頼しないと原状回復できない場合は早めに手配をしましょう。また、自分で片付ける場合もスケジュールを立てて退去日までに終了するように進めましょう。

STEP3:廃業の届出提出

起業・開業した場合に届け出をしたのと同様に、廃業した場合もその旨を各役所に届出しなければなりません。

小さな起業で消費税の納税が無く(課税売上高が1,000万円以下)、一人で事業をしていた場合は税務署へ以下の2つの書類を届け出するだけです。※青色申告をしていたら3つです。

提出書類 対象者 提出先 提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書 全ての個人事業主 1:所轄の税務署
2:都道府県税事務所
1:廃業後1ヵ月以内
2:都道府県による
所得税の青色申告の取りやめ届出書 青色申告をしている人 所轄の税務署 青色申告をやめようと予定している年の翌年3月15日
所得税および復興特別税
の予定納税額の減額申請書
消費税の課税事業者となっている人  所轄の税務署 各都道府県によって異なる(10日以内が多い)

個人事業の開業・廃業届出書は国税庁のこちらのページからダウンロードすることができます。

 

もう少し規模が大きくて消費税の納税をしていたり、従業員を雇っていた場合は、以下のような書類の提出が必要になります。

提出書類 対象者 提出先 提出期限
事業廃止届出書 消費税を納税していた人 所轄の税務署 事業廃止後、すみやかに
給与支払事務所等の廃止届出書 従業員を雇っていた人 所轄の税務署 事業廃止日から1か月以内
確定保険料申告書(様式第6号) 従業員を雇っていた人 所轄の労働基準監督署か労働局 事業廃止・終了した日から50日以内
労働保険料還付請求書(様式第8号) 従業員を雇っていて概算保険料額が確定保険料額よりも多いとき 所轄の労働基準監督署か労働局 事業廃止・終了した日から50日以内
雇用保険適用事業所廃止届 従業員を雇っていた人 所轄のハローワーク 事業廃止・終了した日から10日以内
雇用保険被保険者資格喪失届 従業員を雇っていた人 所轄のハローワーク 離職日の翌日から10日以内
雇用保険被保険者離職証明書 従業員を雇っていた人 所轄のハローワーク 離職日の翌日から10日以内

また、許認可が必要な業種で開業した場合には、廃業したら届出や許認可の返納が必要となります。
女性の起業で多い飲食店とリサイクルショップの事例をご紹介します。

●飲食店
所轄の保健所に廃業届を提出し、「飲食店営業許可書」を返納します。また、消防署に防火管理者解任届の提出も必要です。また、深夜帯にお酒を提供していた場合は、警察署に廃止届出書の提出が必要です。

●リサイクルショップ
リサイクルショップなどで古物営業許可証を取得した場合、廃業したら10日以内に警察署に許可証の返納が必要です。

 


なお、廃業届を出してもその翌年の3月15日までに確定申告の提出が必要になるのでお忘れなく!

まとめ

「売上が伸びない」、「お客様が増えない」といった事業自体の問題や、家事や子育てなど個人的な理由で、残念ながら事業の継続を断念した場合、上記にご紹介したように廃業の準備・手続きをしましょう。

なお、廃業届を税務署に出さなくても開業届と同様に税務上の罰則はありません。しかし、その場合は事業が継続している、と捉えられてしまい確定申告書が郵送されてきます。また、そのまま送られてきた確定申告書を提出せずにほおっておくと、納める税金に加えて延滞税や無申告加算税が課されてしまうこともありますので注意が必要です。

なお、一旦廃業したとしても、また事業を始めたいと思ったら、開業の手続きをすることで事業を始めることができます。

せっかく始めた事業を閉じるのは心苦しいかと思いますが、「飛ぶ鳥跡を濁さず」で、きちんと手続きを済ませて終了するようにしましょう。

  

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